円空作十一面千手観音像と不動堂
円空作十一面千手観音像は富岡市黒川の不動堂に安置されている木製の観音像です。
一般的な円空仏とは異なり仏像表面が黒く、唇が赤いのが特徴で、背中には梵語が書かれています。長い歴史の中で台座部分が切断され、現在の台座は昭和56年に富岡市指定重要文化財に指定された後に付けられたものです。千手はほぞ穴を開けて釘をさして固定しています。こちらの腕もまた、持ち物や腕自体の欠損が認められます。
円空が貫前神社に滞在していたとされる延宝九年(一六八一年)ごろに、不動寺にお世話になったお礼に千手観音像を制作したと地元地区では伝えられています。
不動堂は不動寺として古くから地域の人々の信仰を集めていましたが、明治政府によって出された太政官布告「神仏混淆ヲ禁ス」の宗教改革によって無人であった不動寺は廃されてしまいました。しかし、地域の住民や世話役の尽力もあり現代まで不動堂として残存しています。どちらも雨宮神社の総代長が代々管理しており、現在は吉岡俊明さんが管理人を務めています。
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